コロナ禍での合唱団活動 後編(対面練習の継続)

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前回はオンラインでの練習を主とした活動としている2団体について報告しましたが、今回はコロナ禍においても対面での練習を継続している団体の取り組みについてご紹介します。


合唱団ガイスマ

日本ラトビア音楽協会の実践部門である混声合唱団。人数は20名程度、年齢層は20~80代ですが、60代以上が大半を占めています。

昨年4月の緊急事態宣言時はメインの練習場所にしていたスタジオが閉鎖したため、練習を一時休止しましたが、6月から対面練習を再開し、現在まで途切れなく続けています。

高齢者が多いため、平日夜の練習に出席するのに不安がある団員も多く、練習再開当初からリアル練習の様子をZoomで配信する「ハイブリッド方式」を採用しています。参加者はリアルとオンラインで半々くらい。

対面参加者とZoom参加者で記念撮影

指揮者のアップ映像をiPhoneで映して配信しているのですが、マイク性能が意外に良く、指揮者の指示も合唱団の声も、ピアノの音も拾ってくれています。Zoom参加の団員も、現場で鳴っている合唱の音に合わせて歌えるので、孤独感は薄いかもしれませんね。

Zoomのコントロールや録画のためにノートPCを使用し、スタジオにはWi-fiがないので携帯の4G回線をテザリングしてネット接続しています。機材の多さと、セッティングに時間がかかるのがちょっとだけ難点。

現在は2023年の歌の祭典参加を目指して、既に発表されている祭典のプログラム曲の練習を開始しました。また、ラトヴィアでよく歌われる合唱曲や民謡をまとめた独自の愛唱歌集を編纂し、これまで2冊を作成、練習に励んでいます。


ハイブリッド練習の賜物として、昨年11月18日のラトヴィア独立記念日には、駐日ラトビア 大使館からの要望に応えて、対面とリモートで録音・録画したラトヴィア国歌を撮影、大使館のSNSで公開されました。

この撮影のために練習に出てきてくれた団員もおり、久々に声を合わせる喜びを共有できたことは本当に幸いでした!


オルフ祝祭合唱団

その名の通りオルフの「カルミナ・ブラーナ」などを舞踏付きで上演する団体。3年半ほど前から指導陣の中に入れてもらっています。(指導陣はほかに谷郁さん、三谷幸さん、杉山由紀さん)
人数はプロジェクトによって異なりますが、大体40~70人ほど。

昨年9月に「カルミナ・ブラーナ」の公演を予定していましたが、2年以上先に延期。当面取り組む曲がなくなってしまいましたが、昨年6月から「合唱講座」と称して、指導陣がそれぞれのアイディアで工夫したアンサンブルトレーニングを3か月ほど実施しました。これも対面で、人数を分割して行いました。

今年7月にモーツァルトの歌劇「魔笛」をコンサート形式で上演する『魔法の笛』公演を開催することとし、9月以降はそれに向けた練習をしています。

この団体では練習場所の定席を持っていないので、もともと各地の公共施設を渡り歩いていたのですが、施設側の都合で合唱が禁止されていたり、定員の半分までしか使用できないなどで、団員がフルで集まって練習できないケースが多々あり、いつも運営の皆さんが苦悩し工夫してくれています。

ここはリアルタイムでの配信はせず、指揮者をメインにしたビデオを撮って後日メンバーに公開する形にしています。現在は女声を半数に分けて練習日を分散させているため、二週に一回しか参加できない団員がいるので、ビデオでの独習を励行しています。


他にも、この春に再始動を検討している団体がもう一つ。こちらはオンライン練習をメインとしながら、少ない対面練習でコンサートホールでの公演を実現しようとしています。この一年で蓄積されたノウハウを駆使しつつ、少しずつ「生」の音楽へ回帰できる心と声の準備を進めていかなくては。

合唱

Posted by Taku Sato