ラトビア歌と踊りの祭典記~其の1~

※この記事は2023年7月1日~11日のラトビア旅行中にFacebookに投稿したものを編集したものです。

Day1
ラトビア到着

2023年7月1日

リガ空港に朝9時ごろに到着後、その足で野外民族博物館へ。

首都であるリーガは騎士と商人の街で石造りの街並みだけど、地方の農民・庶民たちは全てを木で作って生活していた。家も家具も、車輪も木。こういう、古い建物や文化の名残がある施設(江戸東京たてもの園とか)大好きなのでめちゃくちゃ楽しい!

昼食を挟んで、夕方からラトビアのアマチュア合唱の最高峰を決める5年に一度のコンクールを見に。女声団体3つを聞いた後、隣の会場で混声部門の最後の11団体をきく。曲は全てラトビア語。課題曲があるんだけど、どの団体も演奏の色合いが違くて、全く別の曲に聞こえることもあり、常に新鮮。高い技術力とハーモニーの精度は世界随一なのだが、それ以上に印象付けられるのは自国の合唱の伝統への強い尊敬の念だった。もうずっと口開けて呆気に取られるばかり。途中からこれがコンクールであること忘れてた。

総合優勝は強豪のYouth Choir Kamēr..が勝ち取る。前評判通りなんだけど、自由曲のĀdolfs Skulteの”Poēma jūrai”(海の詩)の演奏は本当に息を呑んだ名演。
またKamēr..とは僅差で2位だった合唱団Sōlaとその指揮者Kaspars Ādamsonsは強く印象に残りました。自由曲のVasksが超スローなのに音楽が淀まず美しいまま。一気にファンになりました。

いやー歌の祭典くるなら絶対このコンクール聴きにきた方がいいな。


Day2
祭典開幕パレードは大声援と大雨

2023年7月2日

いよいよこの日曜日から歌と踊りの祭典が開幕!朝からリーガの街中では参加する舞踊団・合唱団のパレードが行われて大盛り上がり。

ガイスマの出番は午後なので、午前中はホテルの近くにあるヴェールマネ庭園で開かれている民芸市場へ。見て回るだけのつもりがついつい手が伸びで…1時間半で135ユーロも散財(買ったものは後ほど)。
この日は天気が不安定で、青空が出たかと思えば小雨がぱらついたり。ガイスマが行進する時にはいちばんの大降りになってしまって、カッパの効果虚しくみんなずぶ濡れ!

旧市街の端から大通りをまっすぐ進んで新市街まで数キロの道を歩きましたが、「ようこそ日本!」「ガイスマ!」「親しい私たちの友人!」「コニチワ!」とひっきりなしの大声援を受け続けました。5年前もすごかったけど、その何倍もラトビア人たちのガイスマへの関心とエールの心を感じました。ガイスマ、こんなことになってたんだ…雨にゲンナリしそうだって団員たちもその声に励まされてずっといい笑顔で沿道に手を振り続けました。

パレードの待ち時間でラトビアの高名な音楽評論家イネセ(Inese)さんの取材を受けました。また、世界中の合唱団をテーマにした映画を撮っているというロンドンから来た映画監督Conor Gormanさんにもインタビューを受けました。どんな映画なんだろう。

夜はアジアンレストランで夕食後、アレーナ・リガで開かれる参加者向けコンサートの冒頭だけ聞いてホテルへ戻る。
ラトビアの盟友・志野に呼び出されて終わりの一杯。楽しい話に花が咲きました。
今日も2万歩越え、泥のように眠る…


Day3
作曲家Evijaとの邂逅、そして踊りのコンサート

この日は旅行中唯一のフリー!
一昨年、日本ラトビア友好100年記念で新曲「Seki no ki」を委嘱したEvija Skuķeとその家族に会いにいきました。実はオンラインでしか会ったことがなく、今回がはじめての対面!
初演の演奏はこちら。

ラトビアの伝統的なティータイムとして、庭で摘みたてハーブを使ったハーブティー、摘みたてのルバーブ、Kombuchaなるキノコを使った自家製発酵飲料(お店でも普通に売ってる)、花粉のパウダー(!)などをいただきました。はじめての「普通のラトビア人の生活」を除き見ました。

その後はEvijaのリクエストで十種発声のレッスンタイム!もうね、流石の声の解像度。めきめきそれぞれの声を獲得していきます。カルグラーを覚えたスウェーデン人のマティアスくんが間宮芳生「コンポジション6番」やトルミス「鉄への呪い」を、エヴィヤが同じく間宮の「シャシャブとグイミ」を歌ってくれて大爆笑。
生まれてはじめてのインターナショナルレッスンはひとまず成功。ここから北欧に十種発声が広がっていくか…


Evija家を後にして、16時からアリーナ・リガで行われる踊りの祭典大コンサート”BALTS”を観劇。
歌と踊りの祭典、といいながら、実は踊りのコンサートを一度も見たことがない私。これではラトビアもぐりと言われてもやむなし。縁あってこの日のチケットをとってもらうことができ、ついに観ることができました。

巨大なアリーナ会場を埋め尽くすように、次から次へと登場する踊り手たち。ラトビア民謡のアレンジ曲をバックに、まるで織物のように人々の動きが交差し、なにか物語を紡いでいるような気がしました。
こんな大人数での踊りということで、旧共産圏のマスゲームのようなものを想像するかもしれません。しかしその踊りは、一糸乱れぬ完璧な揃いっぷり、ということはなく、ダンスの振付の型は決まっていつつも、なにか自由な揺らぎ、多様性を感じさせます。ひとつの巨大なマスではなく、それぞれが物語を抱えた群像劇のようでした。

最後のカーテンコールで全員が舞台上に現れ、彼らが作った道の間を子供達が元気よくかけて抜けていくシーンは思わず感涙してしまいした。

これよりもさらに巨大な“グランドファイナルコンサート”が7/7〜8にもあり、そのうち一回を見に行けることになっています。非常に楽しみ!

其の2へ続く。

合唱

Posted by Taku Sato