岩手のうた、『オライノエ』を知って欲しい!
今年2月に薄木葵さんと行ったリサイタルのタイトル【オライノエ】ですが、これは僕の田舎(岩手県)の言葉で「俺の住んでいるあたり」という意味があります。
しかし、このタイトルにしたのはもっと直接的な理由があって、まさにこの題名を持った楽曲が存在するのです!
かつてNHK-BS2で放送されていた『おーい、ニッポン』という番組の中で、「あなたが歌う県のうた」という企画がありました。あの秋元康プロデュースで全都道府県のオリジナルの歌を制作し、それをその地域の一般人に歌ってもらう、というものでした。(作曲はすべて後藤次利)
そこで岩手県の歌として2001年9月にリリースされたのがこの『オライノエ』です。歌っているのはのど自慢チャンピオンにもなったことがある平泉町在住のリンゴ農家のご主人、尾川馨さん。
大学生のころ、実家に帰った折に父親からこの曲を教えられて聞いたのがその出会い。岩手方言と標準語が入り混じった歌詞にまずは大笑いし、その後には尾川さんのあまりにもイタリアンなカンツォーネ風の美声に虜になり、よく聞いてみたら詞もなんだかカッコいいしで、以来20年以上愛聴し続けるとこととなります。
しかし、なにぶんBS番組の企画だったこともあって認知度は皆無に近く(岩手でも知らない人は多いでしょう)、CDの再販がされなかったことなどから作品自体の存在が世間では忘れられてしまったのでした。もちろんカラオケになんか入っていやしません。
こんないい曲を埋もれさせておくのは、あまりにももったいなさ過ぎる・・・!
リサイタルの開催を決めたのち、アンコールでどうしてもこの曲を披露したいと思い、友人の作曲家・竹内一樹君にお願いしてピアノ伴奏の編成でアレンジしてもらいました。
原曲のテイストをそのままに、しかしピアノもしっかりと映えるようなアレンジ。
譜面を書きながら、僕が歌うことを想像してすでにジーンとしていたそうです(笑)。思えばソロ歌唱のための委嘱はこれが初めてでした。
お客様からの反響は想像以上に大きく、たくさんの好評をいただきました!
「佐藤さんの"マイ・ウェイ”のようだった」
「これは拓さんにしか歌えない」
「あの”ん”はどうやって歌ってるんだ?」
など嬉しいお言葉がたくさん。
その中で特にうれしかったのは「いい曲ですね」という感想でした。
ほぼ全員が初めて聞いた曲だと思うのですが、それでもなおダイレクトに曲の良さが伝わったのだとしたら演奏家冥利に尽きます。
これからも、一生自分のレパートリーにしていきたいと思える作品になりました。
当日の演奏動画を上げておきました。どうぞご覧ください。
余談
原曲歌唱者の尾川さん、まだお会いしたことないんですが、大ファンなのでいつか会いに行ってみたいです。なんでも独自の製法で作った林檎を栽培しているとか。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません