振り幅の文月 ~7月レビュー~

まともにブログ記事を書くのは2か月以上ぶりになってしまいました。

いやーこの7月、本当に忙しく働かせていただきました。しかもその振り幅がすごいもんで、あっちへいったりこっちで踊ったりそちらで喋ったり・・・一つ一つ備忘録的にまとめる形で振り返ります。

7/3(日) コエダイr.合唱団発表会

大森福興教会で年に一回の発表会。今回は団員がかなり増え、強力な新人の加入もあって、サルデーニャ島の合唱曲を中心としたボリュームたっぷりのプログラムでした。

さすがにここまでまとめてサルデーニャの曲を歌うのは久しぶりで、体力ギリギリ!最後の方は仮声帯が動かなくなっちゃった人も。

来年にはサルデーニャ行きを計画しているわれわれ、さらにハーモニーと声を磨いていきます。

7/6(水) 第2回わいわいやいやい発表会

ピアニストで、僕の発声レッスンを受講している薄木葵さんと共催で、何でもアリの発表会を企画しました。

主に主催ふたりの生徒さんや友人による発表なんですが、不肖私ボイトレ業を始めて2年、生徒さんを集めての発表会は実はこれが初めてだったのです。

5組10名の方がソロやアカペラアンサンブル、デュエットを披露し、私が指揮する東京稲門グリークラブも18人がオンステしました。皆さん本当に立派!そして全然キャラクターが違っていて非常によい!

そして!講師自身による発表では、オープニングにズーズー弁による「マイバラード」をらづもねあアンサンブルという即席団でうたい、薄木葵さんのピアノによる春畑セロリ「ゼツメツキグシュノオト」では朗読を、最後にソロで4曲歌いました。

人前で歌曲をソロで歌うなんて何年ぶりだろう・・・このために結構練習を積みました。

そのうち動画を上げようかなと思ってますので、どうぞお楽しみに!

7/17(日) 麻生区民合唱祭講師

川崎市麻生区の合唱団が集まるイベントで、妻とともに呼んでいただきました。

全て初めて聞く20の合唱団はどれも個性豊かで音楽に対して真摯で、これほど豊かな合唱文化が一つの区の中にあるということに驚き感動してます。講評の筆がどんどん進みました。

高齢の団体が非常に心のこもった唄を歌っていたのと、麻生女声合唱団の歌う武満徹が特に印象深かったです。

7/18(月・祝) ジュゴン能 沖縄平家物語

桜井真樹子さん作による創作能も今年で3回目。私は壇ノ浦で海に沈んだ後平家蟹となった武将・平教経を演じました。

一昨年の記事
昨年の記事

今年も海の日に代々木能楽堂で演じることができました。去年の初めての能舞台では、舞台上でどんな声を出せばよいのかわからず戸惑ってばかりでしたが、人生2度目の昨日の舞台はすこし能舞台と仲良くなれたような気がしました。

シテの真樹子さんは全編ウチナーグチ、唐突なマオリのハカ、そしてラストのアロハオエなど、奇抜なことのオンパレードのようですが、その全てに必然性があり、ジュゴンへの祈りがある。

自分の演技も去年よりも良くなったとお客さんに褒めていただいて、本当に報われます。
次は沖縄で…?

7/19(火) 山﨑志野 ラトヴィアをうたう 合唱セミナー

ラトヴィアの音楽院で合唱指揮を学んでいる友人の山﨑志野さんが一時帰国していたので、せっかくなのでラトヴィアの合唱作品を紹介するセミナーを企画しました。

平日の昼間の開催で、しかも10日くらい前の告知だったので受講者が集まるか心配だったのですが、全くの杞憂!当日は定員いっぱいの19名の方がいらっしゃいました。

中には合唱指揮者やプロのアンサンブル歌手もたくさん、遠くは静岡からいらっしゃった方も。ラトヴィアの合唱への関心の高さ、現地で学ぶ人から直接学べる機会の貴重さが伝わったのでしょう。

民謡編曲からPēteris Vasksの近作、まだ日本では知られていない作曲家Jānis Zālītis(1884-1943)の作品を紹介してくれて、非常に有意義な時間となりました!志野、ありがとう!

7/21(木) 愛知県高文連合唱専門部合唱祭

昨年度の講師の三宅悠太さんに紹介いただき、初めて講師として伺いました。

29校の演奏を聞かせていただいて講評を書き、モデル合唱団に向けての50分×2回の講習を行いました。講習ではまさかの十種発声をやることになり(笑)、高校生たちにいろいろな声の可能性を体感してもらいました。

雑多にいろいろなことをお伝えしたんですが、「歌の声の多様性」「デュナーミクを強弱以外で捉える」「呼吸と余韻」といったところが大きなテーマでした。

これからもずっと歌を続けて楽しんでもらえますように。

7/27 静岡県高文連合唱専門部講習会 in 浜松

昨年秋に録音審査の審査員として呼んでいただいたご縁がつながり、今年は講習会の講師としてお招きいただきました。

浜松市内の三校(浜松江ノ島、浜松市立、浜松北)の合唱部を1時間45分ずつたっぷりの指導。十種発声で声をほぐし、フレージングのためのさまざまななトレーニングを。少人数でも美しい響きとバランスを持った素敵な学校ばかり。

静岡県、特に浜松は吹奏楽や器楽が盛んで、合唱はやや層が薄いそう。高校で初めて合唱部に入る割合も高く、特に発声技術については蓄積が少ないのだと聞きました。先生方の要望もあり発声の時間を長めに割いたんですが、十種発声含めて好評いただけたようで安堵!

指導した中の一つ、浜松江ノ島高校は昨年の秋に僕が全国高文祭への出場をご推薦した団体だったのですが、わずか3人・指揮なし(先生の伴奏付き)で美しいハーモニーとレガートを聞かせてくれました。来週池袋芸劇の舞台に3人で立つそうです。どうぞ楽しんで!

7/29(金) 東京国際合唱コンクールシニア部門に出場

東京稲門グリークラブとして、第一生命ホールで行われた第4回東京国際合唱コンクールのシニア部門に出場しました。

団としてコンクールに出るのは初めてですし、私にとっても指揮者として臨んだのは初めてのことです。もともとコンクール志向ではない我々でしたが、出場のきっかけはある団員からの「一つの曲をもっと究めて練習してみたい」という要望でした。

このコンクールは日本では珍しい「シニア部門」があり、全員の年齢が50歳以上かつ平均年齢が60歳以上という規定があります。東京稲グリは平均年齢74.7歳で最高齢は86歳。23人中7人が80代で、多分この部門に出た4団体の中で最も年上かもしれません。

プログラムはこちら。全て無伴奏です。
1, Felix Mendelssohn : Beati mortui
2, Carl Orff : Sunt lagrimae rerum より第一楽章”Omnium deciarum”
3, 高田三郎:「季節と足跡」より 風
4, 高田三郎:「季節と足跡」より 大陸風景

コンクールに出るからには勝ちにはいくわけですが、それ以上に求めていたのは、この年代の男声合唱団しか持ちえない表現力と、年代に関わらず挑戦を続ける姿勢を示すことでした。

残念ながら部門勝者になれず、最終日のグランプリコンクールには出られなかったのですが、このメンバーで今できるベストを尽くせた演奏でした。私自身も自分の指揮を見直す大きな契機になり、指揮のレッスンも行っている妻からアドバイスをもらって鍛え直しました。

審査員の方々からは後程詳しい点数表が届くそうですので、それを反省材料に、今後も東京稲グリは前進を続けます!