民謡を山へ返す 『常民一座ビッキンダーズ 山に唄う』リリース
私が座長を務め、歌手の日下麻彩、田村幸代が座員の歌唱集団「常民一座ビッキンダーズ」が、この度山中で撮影を行い、その動画を販売することになりました。
ビッキンダーズは、かつて常民によって歌われていた素朴で野趣あふれる民謡を、それが歌われていたであろう風土や生活を想像しつつ、日本の「普通の人々」の歌声を探し求めて歌う集団です。
2017年以降、間宮芳生作曲のピアノ伴奏付き独唱曲集『日本民謡集』全曲を3人全員が歌い切るまで続ける「まみやまみれ」というコンサートシリーズを続けています。間宮芳生の民謡への視座が、実に多くの啓蒙と刺激を与えてくれ、我々を民謡の世界へと誘ってくれました。
今年の4月にも4回目の公演を行う予定でしたが、コロナ禍の影響で延期、中止を判断せざるを得ませんでした。
しかし我々はこんなことではめげません。
そもそも農作業や山仕事、祝宴などのオープンな場で歌われていた民謡を、コンサートスペースでかしこまって座るお客さんを前に唄う、ということにうっすらとした違和感を感じており、いつか屋外で、しかも人のいないところで歌ってみたいという構想があったのです。
人を集めて歌を聞かせる、ということが困難なのならば、外へ飛び出て、民謡をその故郷の山や畑や海や川に返してあげよう。
そして、そこで唄うことで、常民がどのような身体で、どのような精神で歌っていたかを追体験し、己の歌を磨き上げよう。
11月下旬、われわれは録音録画機材を抱えて、埼玉県越生の山へと分け入りました。
ハイキングルートとして整備された道ではあるけれども、その斜面に立ったり、山道を歩きながら歌ったりすると、想像した以上に自分の体が変化します。それゆえに、声の出し方、節の付け方、間の取り方も、室内で練習している時とは違ったものが思いがけず生み出されました。
声が遥か向こうまでこだまする快感と、踏ん張らなければ歌いきれないという負荷が混在し、体が声を変え、声がまた体を変えていく循環を感じました。
きつい労働とともに歌われた歌、自分への慰みのための歌、人々を鼓舞し力を結集する歌、ユーモアと色気で聴くものを朗らかにする歌…故郷に帰った歌たちは今まで以上に可愛らしくて人間臭い響きに変わりました。
環境が声を作り、人が唄を生み出す。
「人はなぜ歌うのか」という果てしない問いへの、自分なりの第一歩です。
ぜひとも多くの方に楽しんでいただきたい映像です!
動画は、オンラインコンサートサイト「initium; auditirium(イニツィウム・オーディトリウム)」で販売しています。
会員登録(無料)後、希望のコンサートを購入すれば期限なく何度でも鑑賞可能です。
チップ(投げ銭)を送れるシステムもありますので、是非アーティストへのご支援もお願いしたく思います。
我々の動画は座談会も合わせて1時間超ありますが、935円(税込)ボッキリでお求めいただけます!
ご購入はこちらからどうぞ↓↓↓
https://www.initium-auditorium.com/concert/7sbijZUYkvtcJFUvSygr
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