ラトヴィア~ジョスカン~海の常民(10月総括)
ブログではご無沙汰しております。
なんだかんだと10月は忙しくしており、ブログ更新を怠っていました。本番の数は1件だけなんですが、様々なものの準備やら稽古やらで、とにかくあくせく働いた1か月でした。
備忘録的に、この1か月を振り返ることにいたしましょう。
日本ラトヴィア友好100周年プロジェクト
9月から参加メンバーを募集していたこちらのプロジェクト。
締め切りまでに、ななななななんと61名の方から参加申し込みをいただきました!
想像をはるかに超える反響をいただいて、また新しい出会いもたくさんあって、プロジェクト企画者冥利に尽きます。
長いプロジェクト名なので、略称を考案しました。
JLFプレミア・クワイア!!
JLFは「ジャラフ」と発音。Japan-Latvia Friendshipの略です。新曲初演なのでプレミア(Premiere)。
すでに委嘱した新曲も完成しており、オンラインでの練習も進めています。なかなかに手ごわい曲が来ましたが(笑)、これはほんとにカッコイイ・・・いい作品が生まれましたよ!
ところが、このタイミングでラトヴィアは感染者数が急増し、緊急事態宣言と一部業態へのロックダウン指示が出てしまいまいました。当初の予定よりモデルとなる演奏の準備が遅れているため、プロジェクト期間を少し延長する予定でいます。
どうにか年内には既存の民謡曲だけでもリリースしたいところ!
Ensemble Salicus ジョスカンフェスティバルに出演
ルネサンス期フランドルの作曲家ジョスカン・デ・プレ(Josquin des Prez)が亡くなって今年でちょうど500年。
花井哲郎先生率いるフォンス・フローリスの主催で、ジョスカンの音楽に的を絞ったイベントが10月23~24日に開催され、その中でEnsemble Salicus(アンサンブル・サリクス)が1公演を担いました。
サリクスが歌ったのは、ジョスカンの死を悼んで書かれたほかの作曲家の作品群で、特にJean Richafort(ジャン・リシャフォール」による「レクイエム」は30分ある大曲。プロによる全曲演奏は日本初ではないか、とのことです。
僕はほとんどの曲で定旋律(曲の主題となる聖歌や世俗曲のフレーズ)を歌うパートで、一人だけ定旋律フェスティバル状態。
しかも歌うのは普通の楽譜ではなく、パートごとに分かれて書かれ、音符の表記も当時のままの計量譜で、この譜面で歌うのはたぶん7,8年ぶりでした。押し入れから計量記譜法の読み方の資料を引っ張り出して、一から勉強し直しですよ。倍化とか、だれが分かんねん。
定旋律パートは休みが多い分、自分の出るところを見失わないように一瞬も気を緩められません。しかも全体のハーモニーを感じながら、自分の音の役割を瞬間瞬間で認識し、それにふさわしい声と旋律のハマり方を見つけなければいけない。
いやあ、本当に修行のようなリハと本番でした。
演奏の評価は高かったようですが、自分自身の歌唱に対する自己評価は非常に低いです。もっとちゃんと鍛錬しなければ、この音のうねりには入り込んでいけないなぁ。
常民ビッキンダーズ 新作映像撮影
10月28~29日には、座長を務める常民一座ビッキンダーズの新作映像の撮影のため、関東某所の海辺へと繰り出しました。
昨年発表した「ビッキンダーズ山に唄う」に続いて、再び"常民のうた"をそれが歌われていたであろう環境に還して、歌い手の声と身体にどのような変化が現れるかを実践するため、今回は「海にまつわるうた」を集めてみました。
屋外での撮影なので一番の心配は天気だったんですが、2日とも信じられないほどの好天に恵まれ、「映える」画が山ほど撮れました!!
夕日バックの画とかかっこよすぎませんかね(自画自賛)。
今回はソロと3人で歌うもの合わせて9曲。『日本民謡大観』や『日本労作民謡集成』の録音をたよりに、ほぼすべて自分たちで採譜、というか聞き取りをして覚えました。
楽譜を経由しないで、まるで昔の常民から付きっ切りで唄を教えてもらっているような、”疑似口伝”とでもいうようなアナログなやり方で覚えた唄。
ある鯨漁に関する歌は一聴するととにかく複雑なうえに歌い手たちの高いテンションで音程を見つけにくくカオスな音響なんですが、よくよく聞くと明確な規則性と見事な転旋(転調)、タイトでオフビートなリズム感、歌っている顔すらも想像できる声質など、ゆるぎない必然性に満ちた唄だということが分かりました。
洗練から遠ざかって、自由に荒々しく奏でられる音にも一本通った筋がある。
潮風と荒磯、強風の砂浜で揉まれた一座の声がどんなことになったか、映像の完成をどうぞご期待ください。
すごいものができそう。
作品はinitium; auditoriumで発表する予定です。
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