日本民謡とエストニアとボイトレと

前回のブログからだいぶご無沙汰してしまいました。4月に入ってからはとにかく忙しく、特にデスクワークの多い日々を過ごしています。

今月は個人的に非常に大きな仕事が二つ、同時並行で進行しています。

オンラインセミナー「日本民謡と合唱」~ 私たちは民謡をどう歌うか ~

コーラスカンパニーとinitium ; auditoriumの共同企画で、僕が最も関心を寄せている「日本民謡と合唱」とのかかわりあいについてお話しする機会を得ました。

セミナーのテーマは大きく分けて3つ。

  1. 忘れ去られた「真の民謡」の姿を、常民の声によって“再発見”する
  2. 日本の民謡が合唱曲に再創造されてきた歴史を俯瞰する
  3. 現代に生きる我々が民謡とどう向き合い、どのように歌うか

これらのテーマは「なぜ(Why)民謡を歌うのか?」という問いにぶつかり、最終的には「なぜ人間は歌うのか?」という根源的な思索に到達すると思います。

講師という立場ですが、私自身もまだ明確な答えを持っていないことについて、試行錯誤と自問自答の過程を皆さんに見ていただいているような形になっています。むしろこの問いを多くの人と共有して、新たなひらめきを得たい、という希望もあります。

第1回では1963年発売のLPボックス『日本労作民謡集成』から数多くの録音を聴いていただきましたが、思いのほか反響が大きく、常民の歌声の素朴さ、力強さ、生活感情、そしてユーモアなどに気づいていただけたのではないかと思います。

第1回のスライドは30枚!

第2回では大正末期から現代にいたるまでの、民謡を題材とした合唱作品の歴史をたどり、YouTubeにある演奏を中心に聞いていただきました。このために民謡合唱曲リストを作成していますが、現段階で400作品以上!このリストについては後ほど公開し、皆さんからの新しい情報を募りたいと思います。

22日には最終回がありますが、ここでは常民一座ビッキンダーズによる演唱を聴いていただいたり、常民の唄に限りなく近い活動しているある合唱団を紹介したりします。

今からお申込みいただいてもアーカイブの視聴が可能ですので、ぜひとも!

日本エストニア・バーチャル合唱プロジェクト(略称:JEVC)

先月募集したこのプロジェクト、どのくらい集まるだろうなぁ、5人でも来てくれたら嬉しいなあ、と思っていましたら、なんと24名の方にお申込みいただきました!すごい!

僕を直接知っている方は半分もいなくて、エストニアという国に興味のある方、合唱団Baltuの団員に誘われた方、海外との文化交流に興味がある方など実に様々です。逆にオンラインでなければこの方々と出会えず、エストニアとの交流もなかったと思うと、コロナ禍を逆手に取ったなあと自負しております(笑)。

なおこのプロジェクトは、エストニアの上田絢香さんの尽力で、在エストニア日本大使館の【日エストニア友好100周年事業】の一つとして認定されました!すごい!

作品発表は6月中旬を予定しています!編集作業が大変ですが、みなさんが歌声で結ばれる瞬間が楽しみです。

ボイトレ・レッスン

上記二つの準備が忙しくて、今月はあまりレッスンを詰め込んではなかったのですが、それでもありがたいことにレッスンの申し込みをいただいております。

対面でのレッスンもしていますが、身体の使い方、身体と声のリンク、呼吸法などについて、オンラインレッスンよりもかなり具体的に指導できることが分かりました。オンラインはオンラインで利点がたくさんありますから、いいとこどりでハイブリッドにやっていくのが効果が高そうです。

あとは、海外とも気軽につないで声を聴けるというのもオンラインならではですね。先日はラトヴィアで合唱指揮を学んでいる友人の山﨑志野さんに、十種発声+αをやってもらいました。

なんかとても声が出やすくなったそうで、全身で喜びを表現してくれています(笑)。

元気ハツラツですね

十種発声のことはいつか詳しくまとめてみたいと思いますが、仮声帯発声、フースラー・メソード、エスティルボイストレーニングなどの要素を詰め込んで(というか影響を受けて)、声帯自体と喉頭筋群に様々な方向からアプローチするプログラムです。

どちらかというと実践と経験則から生まれたやり方なので、生理学的な解釈は後からついてきてます。いまだにこの声はどこがどうなってるんだろう?と理解し切っていない発声もあります(笑)。

自分のニュートラルな声を発見し、解像度を上げていく効能は間違いなくあります。ぜひ一度お試ししに来てみてください。