ジュゴン能「沖縄平家物語」終演

本年最大の挑戦と思われる舞台が終わりました…!

声明をベースとしたパフォーマーである桜井真樹子さんにお誘いいただき、人生で初めて”能”を演じることになりました。能って相当奥深いし、日本の民謡とか民俗芸能にも強い影響を持っているんですが、その沼の深さに、手を出すのを躊躇していたんですね。

やってみてわかりましたが、声だけでなく身体そのものが変わりますね。身体が先に変わって、声が後からついてくる。

真樹子さんとは初めて作品を一緒にさせていただきましたが、以前からそのヤバイ企みとマジックリアリズムみたいな声にとても惹かれておりました。今回稽古のたびにいろんな話を聞いたんですが、ほんと出てくるエピソードが全部ヤバイ。

ホーチミンの街角で、「ベトナムの歌垣を習いたい」と書いたプラカード持って一人で立っていたら、いろいろ案内されて最終的に歌垣の師匠に会えて教えてもらった、とか、ひとり電波少年みたいなエピソードが山盛り。

ヤバイと知りつつ、ちょっと憧れてしまいましたね(笑)

ストーリーは大きくまとめると以下の感じ。

【前幕】
ザン(ジュゴン)のいなくなった荒れた海を前に絶望する沖縄の漁師。そのもとに、壇ノ浦で海に沈んだ平家の武将3人が平家ガニとなって現れ、ザンが南の果てで生きており、漁師との再会を待ち望んでいることを伝える。漁師は平家カニたちとともに船をこいで南へ向かう。

【後幕】
波の底に沈んだ安徳天皇は、沖縄の竜宮の王に迎えられ1000年が経った。ジュゴンの友達ができ、毎年会うのを楽しみにしていたが、ジュゴンの母が一人で訪れ、息子のジュゴンは基地の護岸工事で傷つき、南の海へ移ったことを知らされる。安徳は悲しむが、ジュゴンの母の歌う唄を聴き、いつかまた会える日を待ち望む。

設定がかなりファンタジーですが、現実の沖縄とジュゴンが時空を超えて平家物語と融合し、さらにそこにマオリのハカやハワイアン(アロハ・オエ)が突然に挿入されます。お客さんは脳のメモリーがもったでしょうか(笑)


能まがいのまったく素人の歌唱でしたが、共演した吉松章さんに謡や地唄についていろいろとご指導をいただきました。(あと日本の民俗芸能についての幅広い知見にも刺激うけまくり)

能の真似するとき、つい喉頭を下げまくって舌を奥まらせてこもった音を作っていたのですが、実はそうではない、ということを教えていただいたのが目から鱗でした。
能の発声、身体のあり方、型などからもっともっと学ぶことがありそうです。

ともにワキツレを務めたのはコエダイr.合唱団の盟友、ホーメイの怪物アイ・ケイイチさん。アイさんが終止地声で舞台にいるというのは初めて見ましたが(笑)、なんか腹に響く強烈な響きがあるんですよね。

会場はもともと狭く、定員の半分以下の12名のみ受け入れというプレミアな公演となりました。12人でもちょっと密に感じたかもしれませんね~。ややドキドキ。

忘れちゃいけない、主催のマリプラの皆さん、代表の梅田まりあさんには大変お世話になりました。


様々ご意見あることを承知で正直に言いますと、僕は沖縄基地問題への特別な意見はなく、むしろそういったものに直接手を触れることを避けている、というか恐れているところがあります。

それでもこの舞台には魅力があると感じました。辺野古問題へのプロテストを出発点としながら、環太平洋的な文化の連環を示唆し、かつジュゴンへの思慕をロマンティックに描く剛腕に、素直に圧倒されました。

一つの舞台から、無数の感慨が生まれ、育っていくのでしょう。
押し付けられるのではなく、底からすくい上げられる抒情。


本公演は制作にあたってクラウドファンディングをお願いしていましたが、達成率120%で見事成立いたしました。ご支援くださった皆様ありがとうございます。

https://readyfor.jp/projects/jugon?fbclid=IwAR1iEDwekITdxLcuRKTktf4EsNyqcH93KUjad2UpBTi00jUoAuhdXVnG6dc

また8月8日までツイキャスで録画を配信しています。会場にいらっしゃれなかった方はぜひともご視聴いただき、感想をお聞かせください。

https://twitcasting.tv/c:maripla/shopcart/13661?fbclid=IwAR3TOm-xq-oTWNF_4tOWRojDErDJCMq0HDK5b8eHGu_Wp01eTL31s8FHiP0

この舞台は毎年海の日に継続して上演することを目指しているようです。
来年も平家ガニになれるかな?

演奏会

Posted by Taku Sato